2. 器形別撮影
基本撮影では、器形や文様に凹凸をもたないシンプルな土器の撮影方法について説明しました。しかし器形によって基本撮影だけでは十分なデータが得られないケースがあります。そのような土器には、基本撮影につづけて不具合が生じやすいところを部分的に補強するための撮影をおこないます。
ここでは器形別の補強撮影方法について解説します。
- 隆帯のある土器 (太い隆帯、またはそれを含む文様帯のある土器)
- 肩のある土器 (壷や台付土器など断面形に屈曲のある土器)
- 突起のある土器 (注口や把手などの突起のある土器)
この3パターンへの対処法を知っておけば、その応用でほとんどの土器に対応できると思います。とはいえ土器の器形や文様は多様であり、この3つの要素を複合的に有する土器もあります。資料ごとに撮影プランを適切に選択し、柔軟に応用することが大切になります。
隆帯のある土器
BEFORE
この画像は、太い隆帯のある土器を基本撮影で撮影し、その写真もとに作成したPEAKIT画像です。
上図赤枠の部分を拡大すると、下図のように「基本撮影のみ」では隆帯の両側に不鮮明な部分が生じていることがわかります。
そこで、このような隆帯を含む範囲をねらい、さらに補強撮影をおこないます。
補強撮影
それでは、隆帯のある土器の撮影方法を動画でご覧ください。
AFTER
下図は「基本撮影のみ」と「基本撮影+補強撮影」を比較した画像です。。
補強撮影をおこなうことによって、隆帯の両側に顕著だったデータの欠落がほぼ解消され、隆帯の輪郭がクッキリと引き締まることがわかります。
肩のある土器
BEFORE
この画像は、肩のある土器を基本撮影で撮影し、その写真をもとに作成したPEAKIT画像です。
上図赤枠の部分を拡大すると、下図のように「基本撮影のみ」では、くびれた部分の周辺に不鮮明な部分が生じてしまいます。
そこで、このくびれの範囲をねらい、さらに補強撮影をおこないます。
補強撮影
それでは、肩のある土器の撮影方法を動画でご覧ください。
AFTER
下図は「基本撮影のみ」と「基本撮影+補強撮影」を比較した画像です。補強撮影をおこなうことによって、くびれ部分の不鮮明な部分がほぼ解消され、沈線やナデの状態が鮮明になることことがわかります。
突起のある土器
BEFORE
この画像は、注口土器を基本撮影で撮影し、その写真をもとに作成したPEAKIT画像です。
上図の赤枠部分を拡大すると、下図のように「基本撮影のみ」では注口周辺部分にデータの乱れが生じていることがわかります。
そこで、注口の周りをねらい、さらに補強撮影をおこないます。
補強撮影
それでは注口、突起のある土器の撮影方法を動画でご覧ください。
AFTER
下図は「基本撮影のみ」と「基本撮影+補強撮影」を比較した画像です。補強撮影をおこなうことによって、注口部分のデータの乱れがほぼ解消され、器面の状態が鮮明になることことがわかります。