PPサービス(PhotoPEAKIT サービス)

PPサービスの特長

PPサービスとは、復元土器を対象としたPEAKIT作成サービスです。お客様が撮影した土器の写真を預かり、そこから三次元データをつくり「PEAKIT画像」を作成します。従来の委託業務との大きな違いは、インターネットを介してお客様とラングとが連携して作業をおこなうため、ほぼリアルタイムで納入可能でであることです。
また土器を移動させないため破損のリスクはなく、通常の外部委託で発生する資料の運搬や保管にかかわる無駄なコストも一切かからないため、低価格でPEAKITを提供できるというメリットがあります。
3Dデータならではの豊富な展開バリエーションをオプションとして用意しており、大量の復元土器の記録をつくるうえで、業務全体を効率的に進めることができる新しいサービスのご提案です。

PhotoPEAKITとは?

 PEAKITとは、考古資料の三次元データから画像処理によってその形状特徴を抽出する技術です。これによって得られたPEAKIT画像は、考古学的な観察、判読をおこなう上で必要な情報が視覚的に表現できることから、画像のまま学術論文や調査報告書に利用されるケースが増えています。  
これまでPEAKIT処理の基礎となる三次元データの入力は、高精度かつ高額なレーザー計測機がメインでした。しかしここ数年で、対象物を多方向から撮影した複数の写真をもとに三次元データを生成するSfMの技術が目覚ましく進歩しています。この進化型SfMは、普通のコンパクトデジカメで撮った写真から三次元データを作成できる手軽さから、考古学者の間でも注目を集めています。  

私たちも数年前からこのSfMの手軽さに着目し、これまでに1,000点をこえる縄文土器の3Dデータ化をおこなうことでその可能性を探ってきました。その結果、撮影方法やデータ処理方法によっては、レーザーで取得した三次元データの品質に近いクオリティが得られることがわかってきました。

但しこのような質の高いデータ得るためには、撮影のノウハウが重要となり、データ処理時間も通常のパソコンならひとつの土器データのために数日間も占有されてしまうほど膨大な計算量になってしまいます。そこでラングでは、SfMを前提とした土器の撮影ノウハウをマニュアルとして公開することで、どなたでも適切な撮影を可能にし、その写真から当社の高速なワークステーションで三次元データやPEAKIT画像をつくるサービスをはじめました。それがPPサービスです。

ワークフロー

PhotoPEAKIT作成サービスは以下のような作業となります。

  1. お客様が、撮影マニュアルに則って土器の写真撮影をおこないます。
  2. お客様が、撮影した写真を随時クラウド上の共有スペースにアップロードします。
  3. ラングが、写真データをダウンロードし、PEAKIT画像を作成します
  4. ラングは、PEAKIT画像を作成し、できた順に再び共有スペースにアップロードします。
  5. お客様は、そのPEAKIT画像を共有スペースからデータをダウンロードして完了です。

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PPサービスのPEAKIT仕様

<基本仕様>

  1. PPサービスの基本仕様は、土器外面の正面のPEAKIT画像+断面画像(正面中心線で断ち割ったラスタ画像)となります。
  2. 土器内部のデータは、器形によっては取得できる場合もありますが、サービスの仕様には含まれません。
  3. 断面は正面の中心から取得し、ラスタ画像で正面図の右に展開します。
  4. PEAKIT画像をそのまま報告書に活用する場合、お客様で内側断面形のデータの取得できなかった部分をマコ等で延長しトレースするなど、若干の編集加工が必要になります。



<マスク option

  • SfMの場合、復元した石膏部分(表面がツルツルした単色の部分)は参照点がとれず、データの乱れや欠損が起こりやすくなります。そのため、PEAKIT画像をそのまま報告書に活用する場合、石膏部分にベタ塗りのマスクが必要になる場合があります。この作業は市販の画像編集ソフトで行ないますが、お客様側で加工の余裕のない場合は、弊社で行なうオプションとして選択できます。


<90°展開図 option

  • 横方向、縦方向への展開図をオプションとして選択できます。左、右、裏、上、下から必要な面だけを個別に選択することができます。



<扇形展開 option

  • 扇形展開図をオプションで選択することができます。



<円筒展開 option

  • 円筒展開図をオプションで選択することができます。



<3Dデータ option

  • 取得した三次元データを汎用形式(.obj .ply .pdf など)で出力したファイルを納入します。土器ごとにオプションで選択することができます。


<AIデータ option

  • 納入後、すぐに画像の編集作業(マスキングや断面トレース)に入っていただけるように、Adobe Illustratorファイルに配置して納入するオプションを用意しています。

予めご準備頂く情報

業務開始にあたり、お客様でご準備頂く情報は以下のとおりです。

  1. 委託土器リストExcelファイルに入力したものです。
  2. 委託土器を個体ごとに撮影したスナップ写真(簡単なもので構いません)

委託土器リストの作成

土器を抽出した段階で、PPサービスの対象とする委託リストの作成をおこなってください。委託リストをダウンロードし、このページの「PPサービスのPEAKIT仕様」を参照しながら、以下の方法にしたがって入力されますと、右側の「金額」に積算金額が表示されます。委託資料の選択、数量の調整にご活用下さい。

ダウンロード 委託リスト(ウィルスチェック済).xlsx (20180529更新)

  1. 委託 No. : 委託番号を入力してださい。(調査での取り上げ番号ではなく、委託遺物の通し番号でお願いします)。
  2. 器種 : 器種を入力してください。(例、深鉢、浅鉢、注口土器 etc)
  3. 器高、最大幅 : 定規などで結構ですので、およその計測値を入力してください。
  4. 正面(標準) : 正面PEAKITは標準仕様なので、あらかじめ「1」と入力してあります。
  5. マスク(option) : 復元した石膏部分(表面がツルツルした単色の部分)は参照点がとれず、データの乱れや欠損が起こりやすくなります。そのため、PEAKIT画像をそのまま報告書に活用する場合、石膏部分にベタ塗りのマスクが必要になる場合があります。この作業は市販の画像編集ソフトで行ないますが、お客様側で加工の余裕のない場合は、弊社で行なうオプションとして選択できます。委託をご希望の場合は「1」を入力してください。
  6. 90°展開(option) : 正面だけでなく、右側面/左側面/裏面/上面/下面などのPEAKIT画像が必要とする場合は、必要面のPEAKIT欄に「1」を入力してください。各面についてマスクが必要な場合はマスク欄に「1」を入力してください。
  7. 扇形展開(option) : 扇形展開図が必要な場合は「1」を入力してください。扇形展開図へのマスク処理が必要な場合はマスク欄に「1」を入力してください。
  8. 円筒展開(option) : 円筒展開図が必要な場合は「1」を入力してください。円筒展開図へのマスク処理が必要な場合はマスク欄に「1」を入力してください。
  9. 3Dデータ(option) : 作成した3Dデータを汎用フォーマットにして提供することができます。ご希望の場合は「1」を入力してください。ただし土器底面も含めて対象資料全周の三次元データを作成するには「底面」にも「1」を入力してください。
  10. AIファイル(option) : 通常、PEAKIT画像はTIFF形式で納入しますが、Adobe illustratorに配置することができます。ご希望の場合は「1」を入力してください。

  • (注)メイン撮影段数の欄は、実際の撮影時に参照する情報です。


ラングへの連絡

  1. 委託リストが完成しましたら、ラングに送付してください( リスト作成する前、起案をお考えの段階で、予めご希望の実施時期やおおよその委託総数について、ご一報いただけると円滑にすすめることができます。)
  2. 正式な見積書を作成し、それをもとに委託契約いたします。

工期

お客様での土器撮影との並行作業が基本となります。お客様がアップロードした個体ごとの写真セットからPEAKIT画像ができるまでの時間は、混みあい状況によっても変化しますが、約1週間が目安となります。お客様側での状況を考慮し、納入時間に関してはできるだけ柔軟に対応するよう心がけておりますのでご相談ください。

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KEYWORDS

「高精度」であること

ラングシステムでは遺物1点につき数万〜数百万点からなる高密度で高精度な3次元測点座標を記録しアーカイブします。私たちは、報告書作成に限らず将来的に所望される分析、復元、公開、あるいは不慮の事故による消失など、多種多様なニーズに応えられるデータを作成することが記録保存の本来の目的であると考えています。

「シンプル」であること

ラングシステムは機械化できる部分と不可能な部分を明確にわけています。たとえば実測図作成に関しては機械で作成可能な情報は全て「PEAKIT」に凝縮されていますので、そこからの作業は非常にシンプルになります。鮮明なPEAKIT画像をキャンバスに、遺物を観察しながら考古学的な情報を表現していくことだけに集中することができます。

「再現性」があること

ラングは考古学が実証学問であることにこだわり、観察図の作成といえどもその根底には「再現性」のある根拠が必要だと考えています。「100人やっても全て同じ結果」あるいは「1人が100回やっても全て同じ結果」が得られる3次元"CORE DATA"を作成し、それを基礎として判読や診断を行なうというプロセスを重視し、実践しています。

「多角的」に分析できること

ラングシステムは3次元"CORE DATA"を多角的に解析し、定量的なデータを抽出するためのシステムです。解析手法はこの先も進歩し続けますので、"CORE DATA"が保存されていればそのデータに対して常に最新の処理を適用することが出来ます。こうすることでデータを「生きた記録」として成長させることが可能になると考えています。

「恒久的」に残すこと

私たちは、遺跡や遺物の記録が、一回の書物作成のためではなく 活用され続けるためのデータであることを意識しています。それは例えば100年後の考古学者が私たちの作成した記録から新たな発見が出来ることです。そのために主観、歪曲、隠蔽、錯誤を極力排した記録を作成し、それを劣化しない形で残すことが大切だと考えています。

「コスト」を抑えること

いかに素晴らしい仕組みであろうとも、実践の場で活用できないものであれば意味がありません。ラングシステムは高い精度、品質、付加価値を供給するとともに、徹底した自動化、ルーチン化が図られ、高いコストパフォーマンスを生み出します。提供するデータのバリエーションも多様で、予算や作業体制に合わせたサービスを提供します。